5月の読書メーター

2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2032ページ
ナイス数:63ナイス

名もなき毒 (文春文庫)名もなき毒 (文春文庫)感想
人間の心の毒、青酸カリの毒、土地の毒、いろんな毒と人間関係が絡み合って、読み応えがあった。今多家の裕福ぶりと、底辺で生きる人の違い、そしてその間で宙ぶらりんな感じの主人公の心の揺れが淡々と描かれているのも興味深い。ただ、杉村家のおままごとのような家庭の様子がどうもムズムズする……
読了日:5月9日 著者:宮部みゆき


光感想
津波に襲われた美しい島、生き残った3人の子どもたち。彼らのその後の人生と、彼らの周りの人々の心の影。美花を思う信之、信之を思う輔、届かない想いが切ない。でも、一番きついなと思ったのは、どこにでもいそうな主婦の南海子かもしれない。娘の椿の将来が心配。そして、今この瞬間にも何人の椿が生まれているんだろうかと思うと怖い。
読了日:5月14日 著者:三浦しをん


色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年感想
高校時代の仲間、大学時代の年下の友人、大切な人に去られてしまう、色彩を持たないつくる。自分の魅力に気付けないまま、傷ついた心を持ち続けて年齢を重ねていく切なさに苦しくなった。それを自分で解決して乗り越えていくための決意はよかった。それでも、乗り越えても乗り越えても、また人は傷つくのだけれど。
読了日:5月21日 著者:村上春樹


世界地図の下書き世界地図の下書き感想
児童養護施設で暮らす子どもたち。彼らの背負う背景がつらくて、でも、施設の仲間たちとの結びつきや温もりに救われる。一つの道が閉ざされても、同じ太さの別の道が続いている。そう信じて、一つの道から別の道に踏み出すことは、逃げるのではなくて強さなんだと思う。
読了日:5月28日 著者:朝井リョウ


野心のすすめ (講談社現代新書)野心のすすめ (講談社現代新書)感想
歯に衣着せぬ物言いに、ひ〜となることはあるけれど、努力の人なんだなあと思う。努力の後に得たいものや価値観のベクトルが私とは違うけれど、自分が何もしないで、自分の不幸を社会や人のせいにするような考え方がイヤだというのは共感できる。「辛い時期、苦難の時期も、その時に努力し続けることで、実は後でいちばん胸を張れる期間になっている」というのが心に響いた。
読了日:5月28日 著者:林真理子


世界から猫が消えたなら世界から猫が消えたなら感想
自分の寿命を一日延ばすために、何かを一つ世界から消す。消すことによって、改めて自分にとってのそのものの存在の意味や、それに関わる自分の人生を振り返るきっかけになる。自己セラピーみたいな感じだなあと思った。お母さんからの手紙はよかったなあ。私も死ぬ前に子どもに手紙を書いておこう。
読了日:5月31日 著者:川村元気

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