12月の読書メーター


2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:988ページ
ナイス数:25ナイス

ロスト・ケアロスト・ケア感想
現代の高齢化社会、そして介護の問題をまざまざと突きつけられる作品。安全地帯にいる人のきれいごとの善悪が、さらに介護の現場の人を追い詰めていく。人を殺すのはもちろんいけないことだけれど、殺すことで双方が救われる状況が生まれてしまうと、もう簡単に何が善で何が悪なのか、わからなくなってしまう。今の法律を作ったり政治を動かしたりしている人は、「安全地帯」にいる人たちなんだなという絶望感を感じた。
読了日:12月9日 著者:葉真中顕(はまなか・あき)


なぎさ (単行本)なぎさ (単行本)感想
まじめで不器用な主人公夫婦、彼らの周りに現れる妻の妹やその友人、夫の部下、そして偶然知り合った地元のおじいさん。離れられないからこそ傷つけあう、でも、心の奥で相手をたまらなく思いやっている妹や夫との関係が切ない。そして、他人の温かさにじーんとする。それぞれ、傷ついたり傷つけたり悩んだりしながら、少しずつ前に進んでいく様子が、多少じれったいながらも素敵だなと思った。うん。みんな強い人ばかりじゃない。でも、それでいい。
読了日:12月23日 著者:山本文緒


太宰治賞2013 (単行本)太宰治賞2013 (単行本)感想
さようなら、オレンジ」を図書館で予約したら、これがヒットした。言葉も生活習慣も違う異国の地で、時には涙したり、孤独に打ちひしがれたりしながら生きて行く女性たちの物語。つらくて、みじめで、くやしくて、何度も心折れそうになりながら、逃げ出さずに黙々と日々の暮らしを積み重ねる彼女たち。そこから少しずつ生まれる友情や信頼、そしてプライドが美しい。一朝一夕でできたものじゃないからこそ、その強さは本物なんだなと感じさせてくれる。
読了日:12月26日 著者:

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