家鳴り   篠田 節子

ホラー短編集ということだけれど、いわゆるお化け物ではなく
現実生活でも起こりそうな物語というのが、じわじわと怖い。
「幻の穀物危機」は昨年の大震災を思い出して、
あの時に報道されなかったけれど
これと似たような状況が知らないだけで起こっていたのかも、
と考えるとぞっとする。


「操作手」も考えさせられる。表面上の人の言葉や表現と、
その奥の本心の違い。
そして、それは隠していても表面にあらわれてしまうんだなあ。
とにかく、全編を通して人の心の裏というか本音というか
そういうのがじわじわと伝わってきて、
うん、わかるわかる、あるある、と思いつつ、そう思ってしまうのが怖かった。

家鳴り (集英社文庫)

家鳴り (集英社文庫)