安全な妄想  長嶋 有

エッセイって久しぶりに読んだ。
しかし、これがなかなか面白くて。
特に気に入ったのが「愛しのジャパネット」。
読んでいると「ジャパネットたかた」を見たくなった。


普通、何かの感想を抱いたり、
考えたりするときに、
この人は普通の人が思うことから
ちょっと外れた横の部分が相当気になるらしく
それは確かに他の人も気になるんだけど
普通の王道の気になることに隠れて
なんとなくうやむやにされちゃってて、
そこがクローズアップされるのが面白いのかなあ。


そうそう、蟹の話も面白かった。
実は私も蟹の魅力が今一つよくわからない。
「蟹!」とテンション上がる人が多いけれど
食べるのめんどくさいし、その割には実際食べても
そんなに感動するほど美味しいわけでもない気がするし。
と思うのは、私が本当に美味しい蟹を知らないかわいそうな人だからかも、
なんて思うと、蟹にテンションが上がらないというのも
恥ずかしい気がして、今までなんとなく言えなかったのだ。
でも、よかった。同じような人がいて。


あと、どきっとしたのが「絶交」。
たしかに、大人になってから絶交ってしないよなあ。
強いて言えば、大人の絶交って「離婚」くらい?
他には「もう、親子の縁を切ります!」みたいな勘当とか。
会社と絶交するなら、会社をやめるとか、取引をやめるとか。
普通の人間関係では、関係がダメになると自然とフェードアウト…みたいな
感じが多いのかなと思う。


と言いつつ、私は先日、「絶交」しちゃったんだけど。
大人げないんだろうな。やっぱり。


安全な妄想

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