マザーズ  金原 ひとみ

同じ保育園に子どもを通わせる3人の母親。
ドラック中毒の作家、ユカ。
人気モデルの五月は不倫中。
専業主婦の涼子は精神的に追い詰められて子どもを虐待しそうになっている。
それぞれ、子どものことを深く愛しながらも
自分たちの生活を壊された疎ましい存在としても思っている。
そして、3人とも夫との関係はうまくいっていない。


子育て中のイライラや閉塞感は、わかるなあと思った。
私も何度、子どもに手を上げる代わりに枕をげんこつで殴ったことか。


あと、彼女たちはみんな夫と恋愛をしているんだなあと思った。
それもほとんど片想い状態。
子育てのストレスと夫に振り向いてもらえない悲しさ。
3人とも、だんだんと壊れて行く様子が怖い。
でも、一歩間違うとそうなっちゃう人っていっぱいいると思う。
自分の性格や、子どもの性格や、そして周囲の人の理解、
それが悪い方向にマッチングしてしまうと
ぐわーっと壊れてしまうんだろうな。


虐待のシーンやドラッグでの妄想シーン、そして事故のシーンは
読んでいてとてもつらかった。
特に事故の部分は号泣。


子育てって、赤ちゃんや幼児の頃ってほんとに大変だけれど
小学生になって、中学生になって、高校生になったら
それはまた違う大変さがあるんだよなあ。
今になって思えば、赤ちゃんや保育園の頃の悩みなんて
お気軽でいいもんだったなあと思う。


でも、あの頃はやっぱり自分の時間や行動を
自分でコントロールできないというのが
何よりもつらかったんだなと思い出した。
大変さの質が違うんだよね。


最後はみんなそれぞれの世界でなんとなく
落ち着いて、ほっとした。
もし私だったらないな、と思ったけれど。


マザーズ

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