残虐記  桐野 夏生

小学4年生の女の子が、25歳の男に誘拐され、1年間も監禁される。
誰も助けのこない部屋で、犯人からはなぜか「みっちゃん」と呼ばれる。
隣に住むヤタベさんがいつか気がついてくれることを心の支えに、
なんとか生きのびたものの、
助け出されてからもまた地獄のような日々。


そして、少女は小説家になるものの、
出所した男から手紙が届き、失踪する。
今まで沈黙していた真実を描いた小説を残して。


自分の子が被害者と同じ小学4年生ということもあり
読んでみたのだけれど、うわー、つらい……
犯人もそうだし、隣のヤタベさんもそうだし、
そして助かった後の周囲の人たちの視線の悪意と好奇心。
被害者というのは、直接の犯罪被害だけでなく、
その後も何度も繰り返し傷つかなければならないのが、またつらい。


それにしても、人の気持ちって複雑だなと思った。
理屈で説明できないものがあるんだなと、
頭ではわかっていても、やっぱり心では「え?そう思っちゃう?」と
思う部分が何度も出てきて。
人の心は難しい。


残虐記

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