下町ロケット  池井戸 潤

下町の中小企業が大企業の理不尽な要求や攻撃に立ち向かう。
その構成は「空飛ぶタイヤ」と似ている。
この物語も、大手の取引先から取引を停止されたり
わけのわからない訴訟をおこされたり
そのために銀行からも融資を断られたりと
空飛ぶタイヤ」ばりの苦境に立たされるところから始まる。


が、まだ3分の1ほどもいかないくらいから
なんとなく解決しそうな流れになり、
あれ?これで終わってしまうの?
と思っていたら、なんのなんの、そこからが本番だった。


ロケットをつくる使命を持った大企業の帝国工業。
そして、エンジンに欠かせないキーテクノロジーの特許を持つ
中小企業の佃製作所。
特許をめぐり、帝国工業と佃製作所の対立はもちろん、
それぞれの社内でも反発したり対立したり、
辛辣な言葉の応酬が見られたりする。


自分が信じていることが正しいのか、
自分の選択が誰かを傷つけているのではないか、
悩みながらも技術者としてのプライドを守り続ける佃社長。
「佃プライド」を必死で守り、戦う社員たちの姿。
かっこいいなと思った。
そして、いろいろと思惑や葛藤がありながらも、
最高の技術でナンバーワンの製品を作ろうという思いを持つのは
帝国工業も佃製作所も同じなんだなと。
ゴールが同じところを目指している人たちというのは、
強くてかっこいい。
職人て、かっこいい。
大満足。


下町ロケット

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