女神のタクト  塩田 武士

仕事も恋も失った三十路の女がふらりと一人旅に出て
そこでちょっと風変わりな老人と出会い、
頼まれごとをする。
それをきっかけに、神戸の貧乏楽団の仕事に携わるようになる。


この主人公の女、明菜をはじめ、
エストロの拓斗、職員の別府、辻、その他楽団のメンバーなどもろもろ
登場人物たちがみんな個性的でキャラが立っていて
なかなか面白い。
特に明菜と別府の歯に衣着せぬ掛け合いが見事で、
どこかでこんな情景を目にしたような……
と思っていて、気がついた。
まさにカーネーションの糸子と北村だ。
じゃ、マエストロはスオウさん?


それはともかく、なかなか楽しく読めた。
そして、「船に乗れ!」もそうだけれど、
音楽に身も心もささげている人たちの話は面白いなあと思う。
あと、音楽を文字で表現するって、ほんとすごいなと。
読んでるだけで、その曲の感動が伝わってくるというか、
聞いてるつもりになっちゃうし、
そして、今度は本当の曲を聞きたくなっちゃうもんなあ。
さすがだなと思う。


女神のタクト

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