Nのために 湊 かなえ
高級マンションで夫婦が殺される。
現場に居合わせた4人の証言により、
犯人はすぐに特定される。
証言にも食い違いはない。
事件解決。
・・・のはずなのだけれど、どうやら真実は違うらしい。
それが、その4人それぞれの視点から語られる。
4人の過去と、そして事件から10年後の姿もからめて。
行きつ戻りつ、少しずつ真実に近づいていく。
で、この「N」なのだけれど、
登場人物すべてが「N」なのだ。
すべてのNさんが、別のNさんのために、
ために、ために、が積み重なって
生まれてしまった悲劇、ということなのかなあ。
背景に、虐待やDVという問題が流れていて、
そこがまた読んでいてつらくなってしまうのだけれど。
心が少しずつ壊れていく人も、
とてもつらいだろうし、かわいそうだと思うけれど、
その人の周りの人たちがまた心を傷つけられていくのが、つらい。
- 作者: 湊かなえ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/01/27
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 71回
- この商品を含むブログ (83件) を見る