身体のいいなり  内澤旬子

著者はフリーランスルポライターイラストレーターをしている女性。
38歳のときに乳ガンと診断される。
でも、それ以前からアトピーや腰痛や冷え症や
さまざまな身体の不調に悩まされ続け、
おまけに仕事も常に絶好調というわけでもなく、
結婚はしているけれど、生活費は配偶者と折半で
いわゆる常に「ぢっと手を見る」状態の生活を続けている。


そんな著者がガンと言われ

素晴らしく良い気分というわけではなかったが、
心の底では深い開放感に包まれていた。
とにかく、これでもうがんばらなくてもいいのだと思った。

と思ったところに、とっても共感してしまった。


と言っても、私が特に自殺願望があるわけでも
積極的に死にたいと思っているわけじゃなく、
毎日泣き暮らしているわけでもない。
ただ、なんとなく、ときどきふっと、
なんだか疲れちゃったなーと思うことがあって。
いろんなことを全部投げ出して、逃げ出したいなあと思うことがあって。


だから、著者が治療は保険の適用内で
それでダメならダメでしょうがないかと
民間療法の薬とか、いろんな治療法とかを調べるよりも
ホスピスを調べてみたりとか、
それよりも、薬の副作用のほてりやのぼせや腕の引きつりの方が
仕事に支障が出るのでなんとかしたいと思って
ヨガを始めたりというのは、
すごくわかる気がした。
たぶん、私もそうするだろうなあと。


逆に、自分の家族とか大事な人がガンにかかったときの方が
いろんな治療法や薬とか、がむしゃらに調べて
なんとか完治できないか、それが無理なら延命できないか、
ジタバタしそうな気がする。


たぶん、心のどこかに死は怖いものではなく、
ラクになれるものという思いがあるのかもしれない。
だから、震災の後で放射能の問題がすごく取り上げられたときも、
それで死んじゃったらしょうがないかなあ、
そういう運命だと受け入れるか、
と、正直、そこまでの危機感を感じられなかった。
そんな自分に罪悪感を感じることもあったし、
自分はいいとして、子どももそれでいいのかと言われてしまうと
何も言い返せないんだけど。
でも、こればっかりはどうしようもなくて。
死ぬ勇気もないけれど
生きる意欲に欠けててごめんなさいというか。


で、著者はガンの手術の後の身体の不調をどうにかしたいと
ヨガを始めたわけなのだけれど、
最初はヨガをやった日だけはぐっすりと眠れてだるさが取れたということで
続けていたら、気がついたら腰痛などもよくなっていて、
冷え症なども改善されていて、
ガンの手術を受ける前よりも、体の調子がよくなっていたのだと。


ヨガ。いいかも。
私も、腰痛とか肩こりとか、ちょっと疲れたり
精神的にダメージを受けるとすぐに不正出血したり
冬には自分で自分を触れなくなるくらいの冷え症だったり、
そういうのを改善したい。
そういう、なんとなく続く身体のダメージが
心のダメージを引き起こしているような気もする。
そして、そういうヨガとかは、
DVDとかWiiFitでやるんじゃなくて
ちゃんと先生についてもらってやった方がいいんだろうなあ。


というわけで、ヨガ、もしくはピラティスに通おうかなあという気になってきた。
問題は、私が仕事や約束以外で家を出る気になるかどうかということだけど。


ところで、この著者は私が共感するくらいだから
基本的にネガティブで、いろいろ考え込む割には、
最後にはどーでもよくなってしまったりするめんどくさい人なんだけど、
なんと誕生日が私と同じだった。
年は一つ違いだけれど。


納得。うむ。


身体のいいなり

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