さくらの丘で  小路 幸也

大好きな祖母がなくなり、その遺言により
祖母が昔過ごしたさくらの丘の土地と建物が残された主人公。
祖母の2人の友だちの孫娘たちにも、
同じようなメッセージが残されていた。
そこで、それまでお互いにまったく知らなかった3人の孫たちは
一緒にさくらの丘を訪れ、なぜ祖母たちがその土地と建物を残そうと思ったのか、
それもなぜ子どもではなく孫だったのか、
その謎を探す。
物語は、孫たちの行動と交互に、
祖母たちの時代の物語も語られる。


最初は、ちょっと退屈かなあと思っていたのだけれど、
物語を包む雰囲気がとても温かくて、
そして切なくて、
読んでよかったなあと思った。
祖母たちが過ごした時代として描かれていた戦後という時代が、
ちょうど、朝ドラの「おひさま」の戦後の時代と、
そして読んだのが8月の終戦記念日の頃と重なっていたからというのもあるかも。


無理をしたり、大きな声をあげなくても、
自分たちの気持ちを大切に、
できることをやっていければ、
みんなもっと、優しくなれるし
気持ちよく生きていけるんだろうなと。
そう思った。


さくらの丘で

さくらの丘で