BT'63 池井戸 潤

仕事のストレスのせいか、心を病んでしまった主人公。
どうにか回復したときには、妻と別れ、仕事もなくしてしまっていた。
そんなときに、亡き父が残した遺品に触れることで
父の人生を見ることができるようになる。
自分の知らない父の一面を見ることが
自分自身を知ることになるような気がして、
父の人生の軌跡を辿るのだが、
そこには若い父の壮絶な人生と
「BT21」というトラックにまつわる事件があった。


最初は「SFもの?」と思って
読むのをやめようかなーと思ったのだけれど
どんどんいろんな人が出てきて
いろんな事件が絡んできて
こんなに話が膨らんじゃって、
いったいこれからどうなるんだ?と
だんだん面白くなった。


この人が書く企業ものの物語に
結構えぐい犯罪ものが絡まっていて
途中、ひ〜〜っとなるおぞましい場面もあったりするのだけれど、
それだけじゃなくて
登場人物がそれぞれに
仕舞いこんでいた記憶がよみがえって
それぞれの人生に決着をつけていく過程も描かれていて
そのあたりが救いがあっていいなあと思った。


BT’63

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