ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ  辻村 深月

なんでも相談しあい、
とても仲のよかったチエミと母。
なのに、娘は母親を殺してしまう。
母親を殺した後、母の口座からお金をおろして
行方をくらませてしまったチエミ。
そのチエミの行方を探すために、
東京に出てフリーライターをしていた幼友達のみずほは、
かつての自分たちの友だちから話を聞くために
故郷に戻る。


地方で生まれ育ち、そこで生涯を終えていく運命を受け入れている故郷の友だち。
どんな結婚相手を選ぶかが自分の人生を決定するという、
だからこそのかけひきや、
同時にそんな世界から一歩抜け出した女性たち(みずほも含まれているのだけれど)との「格差」。
そういう女たちの世界が丁寧に描かれている。
そうなんだなあ。
女の味方は女であると同時に、
時には女の敵は女でもあるという事実。


そんな女同士の確執と平行して、
故郷に戻りながらも母親に合わないみずほや、
チエミを異常に心配する恩師、
姿をくらましているチエミの元彼など、
いろいろな謎が散りばめられている。
なによりもチエミの行方を探しつつ
赤ちゃんポスト」の記事を書くために取材を進めるみずほがまた不可解だ。
そんなあれこれが中途半端に描かれては別のシーンに移り、
微妙にいらっとするというか、伏線だらけでめんどくせーと思いつつ、
これらの伏線が気になって読み進めてしまうという・・・


でも、最後にこれらの伏線が見事につながり、
そして意味不明なタイトルの意味がわかったところで
号泣。
飲みながら読んでいたからかもしれないけれど、
おいおい泣いてしまいました。


ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)