更年期少女  真梨 幸子

登場人物は、40代〜50代のまさに更年期を迎えようとする女性たち。
彼女たちは、子ども時代に夢中になった「青い瞳のジャンヌ」という漫画に
大人になってからもずっと夢中で、ファンクラブを作っている。
ファンクラブの幹事は6人。
それぞれ、マルグリット、ジゼル、シルビア、ガブリエル、ミレーユ、エミリーという
ハンドルネームで呼び合っている。


この幹事会ではフリルのついた華やかな服を着て
豪華なフレンチのランチを食べ、
優雅にふるまっている(と言っても、周囲から見るとかなり滑稽)彼女たちも
それぞれ家庭では悩みを抱えている。
DVの夫、年老いた親の介護、遺産相続問題、落ちこぼれの子ども、などなど。
そしてこの6人の中でも、ファンクラブのアイドル「ガブリエル」を巡って
様々な駆け引きや策略がめぐらされ、
それに漫画の原作者やストーリーの謎なども加えられている。
そして、幹事会のメンバーの身に、順番に不幸が訪れる。


このメンバー、人格的にかなりゆがんでいるというか
偏っているというか、
そして自分ではそれに気が付いていなくて、
どんどんゆがんだ方向に進んでいく。
その姿に、思いっきり嫌悪感を感じつつも
読み進めずにいられないという。


特に、50歳過ぎても母親から自立できず、
そして母親もそんな娘から離れられず、
それをイライラしながら見ている弟や妹も
結局は自分の生活が大事で母と姉を見放してしまうミレーユ家族の姿は
なんともやりきれない。


おそらく、こういうタイプの人たちというのはたくさんいて、
それをデフォルメしてわかりやすく書くというのは
林真理子さんの作品と共通しているところだなと思ったけれど、
こちらの方がかなりグロテスク。


と、読みながらとっても心地悪い本なのだけれど。
最後に「おおっ。そうだったのか!」という部分があり、
今度はその事実を踏まえたうえで最初から読み返したいと思ってしまうという
なかなか面白い作品だった。


更年期少女

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