クライマーズ・ハイ  横山 秀夫

1985年に起こった御巣鷹山の飛行機墜落事故。
この事故の全権デスクを任された地元紙の新聞記者、悠木。
ちょうど事故が起こった日、彼は同僚と山に登る約束をしていた。
そしてその日、同僚は病に倒れた。


自分に山を教えてくれた同僚への思い、その家族への思い、
かつて、自分が死に追いやったかもしれない後輩社員の遺族への思い、
自分の家族への思い、
いろんな思いを抱えながら、
世界最大規模の事故を詳細に報道する地元紙としての
仕事に追われる日々。
組織のしがらみや、同僚の嫉妬、後輩記者からの期待と失望など、
それはそれはもうてんこもりの内容に圧倒される。


しかし、よく女の世界はどろどろしていると言われるけれど、
男の世界の方がどろどろ度では負けていない気がする。
権力とか派閥とかある分、ストレートに感情や言葉の応酬があって
ドロドロだけでない激しさというか恐ろしさというか。
働くということは、すごいことだなあと思う。


と、そんなドロドロ度にびっくりしたり、
二転三転する人間関係に多少混乱したりしつつも、
命の重さ、命の大きさ、
そんなことも考えさせられたりして。
読み応えありました。


クライマーズ・ハイ (文春文庫)

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