オレたちバブル入行組  池井戸 潤

空飛ぶタイヤ』や『鉄の骨』がとっても面白くて読み応えがあったので
この人の他の作品も読んでみることに。


これは大手都市銀行の話。
融資課の半沢が、支店長から無理やり
ある会社の融資を通すように命じられる。
が、わずか半年後にその会社が倒産。
半沢一人に5億円という損害の責任を負わせられそうになる。


それを回避するためには、なんとしてでも5億円を回収しなければならない。
しかし、倒産した会社から5億円を回収するなんて。
おまけに、銀行の上層部からは激しい嫌がらせや圧力もかかり、
それはそれは苦しい状況なのだけれど、
半沢の粘り強い努力で、一つひとつ真実が明らかになっていく。
それを武器に、とんでもない上司たちや
借金を踏み倒す気満々の社長に半沢が反撃していく様子は
読んでいてとっても気持ちがいい。


あと、銀行の話なのだけれど、
金融系の難しい用語やお金の流れなど
とてもわかりやすく、やさしく説明されているので
お金関連のことはさっぱり??な私でも
何の苦もなく、面白く読めた。
著者はたぶんとても頭のいい人で仕事ができる人なんだろうけれど
「オレ、頭いいですけど、何か?」みたいな鼻につくような感じじゃなくて、
読み手にわかりやすく書こうとする思いやりが感じられる。


それにしても、会社勤めって本当に大変なんだなあと改めて思う。
特に大きな会社や組織になると、
その中で自分の価値観や正義を守るというのは
社外の敵と戦うよりも、難しいことなのかもしれない。
でも、この人の書く物語の人たちは、
それに負けないで、あきらめないで、自分の信念を大事にしている。
とても太刀打ちできない大きな敵を相手に、
最後に大逆転というパターンは「できすぎ」と
いう人もいるかもしれないけれど、
でも、それでも、やっぱり私は
理不尽なことや権力に傷つけられた人が
それに負けずに戦って、
そして最後に笑う姿が見られる、この人の作品は好きだなと思う。


オレたちバブル入行組

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