ゴールデンスランバー  伊坂 幸太郎

仙台で、パレードの最中に首相が暗殺された。
犯人はすぐに特定される。
状況証拠はすべて、青柳雅春という青年が犯人だと示している。
しかし、実はその犯人は濡れ衣だという説も根強く残っているのだ。


というわけで、これまた伏線だらけの物語で、
途中で挫折しかかる。
が、だんだんストーリーに加速度が増していくにつれて
面白くなり、最後は一気にぐわーっと読めた。


私が好きだなあと思ったのは、
青柳雅春の昔の恋人、樋口晴子。
4歳の娘と一緒に、淡々と、そして毅然として
かつての恋人を助けるためにこっそり活躍する。
恋人として一緒にはいられない、
だからといって、人間として全否定しているわけでもなく、
だからこそ何年も会っていないのに無実を信じて
それが助けにつながるかどうかもわからないのに動く。
かっこいいなあと思う。
娘とのやりとりもステキ。
まだ4歳の娘は、ときどきいろいろとやらかしてくれるわけだけれども、
そんなときもイラッとすることもなく、動揺することもなく対応する。
これもまたかっこいいなあと思う。


他にも、青柳雅春を助ける人々が出てくるわけだけれど、
みんな、自分の足でしっかり立っていて、
自分の価値観で動いている。
マスコミの情報操作で操られないことは
とても難しいと思うけれど、
自分の頭もしっかり目覚めさせておこうと努力することは
忘れないようにしないといけないなー。
と、思った。


ゴールデンスランバー

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