夏の庭−The Friends  湯本 香樹実

Y様と6さんのおすすめ本。
二人とも、この人の本を全部読みたいと書いてあったので、
まずは私も第一作から読んでみることにした。


これは、小学6年生男子と老人のひと夏の物語。
そもそも、この少年たちと老人の出会いというのが
「人間が死ぬ瞬間を見たい」という少年たちの
なんともまあ失礼な願望によるのだが、
それもまた、12歳の少年なりの気持ちの整理の仕方であるところが
憎めないというか、少し切ない。


少年たちに「観察」されるおじいさんは、不思議とだんだん元気になっていく。
最初は互いに反発し合いながらも深まって行く
おじいさんと少年たちとの交流は、少年たちにとって、
人には一人ひとり違う「顔」や「しわ」や「しみ」があること、
これまで生きてきた人生や経験があることを教えてくれる。
そして、「生きる屍」になっていたおじいさんも、
少年たちを通して世界が少しずつ広がり、
もう一度生活を、人生を楽しむことを思い出す。


おじいさんが少年たちに教えてくれた「答え」は、
とても温かくて、やさしかった。
たしかに、この人の作品をもっと読みたいと思った。


ちなみに、ツカサにも「同じ6年生が出てくる本だから読んでごらん」と渡した。
読書嫌いなので、「やだなー。めんどくせー」とぶーぶー文句を言いながら
しょうがなく手にとっていたけれど、
読み始めると一気に最後まで読んでしまった。
びっくり。


夏の庭―The Friends (新潮文庫)

夏の庭―The Friends (新潮文庫)