夏の庭−The Friends 湯本 香樹実
Y様と6さんのおすすめ本。
二人とも、この人の本を全部読みたいと書いてあったので、
まずは私も第一作から読んでみることにした。
これは、小学6年生男子と老人のひと夏の物語。
そもそも、この少年たちと老人の出会いというのが
「人間が死ぬ瞬間を見たい」という少年たちの
なんともまあ失礼な願望によるのだが、
それもまた、12歳の少年なりの気持ちの整理の仕方であるところが
憎めないというか、少し切ない。
少年たちに「観察」されるおじいさんは、不思議とだんだん元気になっていく。
最初は互いに反発し合いながらも深まって行く
おじいさんと少年たちとの交流は、少年たちにとって、
人には一人ひとり違う「顔」や「しわ」や「しみ」があること、
これまで生きてきた人生や経験があることを教えてくれる。
そして、「生きる屍」になっていたおじいさんも、
少年たちを通して世界が少しずつ広がり、
もう一度生活を、人生を楽しむことを思い出す。
おじいさんが少年たちに教えてくれた「答え」は、
とても温かくて、やさしかった。
たしかに、この人の作品をもっと読みたいと思った。
ちなみに、ツカサにも「同じ6年生が出てくる本だから読んでごらん」と渡した。
読書嫌いなので、「やだなー。めんどくせー」とぶーぶー文句を言いながら
しょうがなく手にとっていたけれど、
読み始めると一気に最後まで読んでしまった。
びっくり。
- 作者: 湯本香樹実
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/03/01
- メディア: 文庫
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