阪急電車  有川 浩

阪急電車、昔、数ヵ月間だけ利用していたことがある電車だ。
といっても、この物語の舞台となっている今津線ではなかったけれど。


阪急今津線の電車内で起こる物語を、
一駅ごとに綴った短篇連作集。
一つひとつの話は独立しているのだけれど、
登場人物が他の話ともリンクしていて、それがまた面白い。
たまたま同じ電車に乗り合わせた人同士の人生が一瞬交錯して、
そして、その後のそれぞれの人生を少しだけ、
時には大きく変える。


恋のはじまりにほっこりしたり、
別れを決意する女性に、頑張れ頑張れ!と応援したり。
読んでいて、素直に楽しめた。
一番ステキだったのは、孫と電車に乗っていたおばあさん。
かっこよかった。いいなあ。


でも、こういう物語が生まれたのも、
これが大阪の電車が舞台だからなのかも、と思ったり。


いや、ここが東京だからって、それは言い訳だな。
東京にも、きっとほっこりさせてくれる物語はたくさんあるはず。
自分で見つけようとしてないだけなのかも。


阪急電車

阪急電車