R.P.G.  宮部みゆき

火車」に続いて、これも久しぶりに本棚から引っ張り出してきた。
ネット上で擬似家族を作る父親。
そしてその事件に関する取り調べ。
ほ〜、「R.P.G.」のタイトルの意味が二重に使われてて
面白いなあと思った。


でも、それよりも、ネット上に擬似家族を作り、
それを娘に知らせる父親の残酷さ、
そして、それによってどれほど娘が傷つくかを
まるでわかっていないということが、とてもショックだった。
自分のことしか考えられない人の
無邪気な恐ろしさというか。
こういうのを読むと、自分はどうだろうと思ってしまう。
私も、自分が気が付かないところで
悪気なく無邪気に人を傷つけているかもしれないと。
多かれ少なかれ、そういう面は誰にでもあるとは思うのだけれど。


あと、「火車」で出てきた妊娠中のお母さんの言葉や、
「R.P.G.」の擬似家族ででお母さん役を演じていた女性の言葉など、
普通に生きている女性の思いがぶわーっと吐き出される場面があって、
それが印象的だった。
ストーリー的には別に何の影響も及ぼさないセリフなのだけれど、
だからこそ、そこに女性だったら誰もが感じたことのあるセリフや感情を
きちんと描いているというところに、
作者の物語全体に対する丁寧な姿勢というか、
ストーリーの面白さやナゾ解きだけではなく、
人の気持ちを大事にする姿勢を感じた。


R.P.G. (集英社文庫)

R.P.G. (集英社文庫)