赤い長靴 江國香織
さばしゃんの感想を読んで、なにやらどうやらものすごい本のようだと
激しく興味をそそられて図書館で借りた。←買わないのか!
結婚して10年を経ているけれど、子どもがいない夫婦。
妻の言葉は夫には届かない。
言葉が通じない夫に対し、妻も最初は働きかけていたようだけれど、
いつのまにか諦めてしまったらしい。
そして、妻はいつもくすくすと笑う。
泣くかわりに。
おそらく、どの夫婦にでも程度の差こそあれ、
こういうことはあると思う。
でも、たとえば子どもがいれば、そのあたりのことが子どもとの会話や
子どもの話題などでぼかされるのだろう。
でも、夫婦だけだと、その状態にどっぷりとつかって、
否応なく向き合わなければならない。
これは、精神的なDVだなと思った。
現実から目をそらして、そして現実にしばられているところも、まさに。
万が一この妻が離婚を決意したとしても、
おそらく周囲の人(親や親戚など)は、その理由を理解しないだろう。
お金の問題とか、浮気とか、暴力とか、そういうわかりやすい理由がないと、
なかなか離婚というのは理解してもらえないものだし。
そして「赤い長靴」の意味。
このかわいらしいタイトルの意味を知ったとき、ぞくっとした。
まるで、ホラーだ。
- 作者: 江國香織
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/01/15
- メディア: 単行本
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