秋の牢獄  恒川光太郎

同じ一日を延々と繰り返すことになる女子大生。
日本中を空間移動する不思議な家に捕らえられた男性。
子どもの頃出合った老婆に不思議な力を与えられ、その力を人知れず育て上げる女性。
時間、家、そして不思議な力に閉じ込められた人々を描いた3部作だ。


3作ともとても面白いなあと思ったけれど、
私はこの中では「家」に閉じ込められる「神家没落」が一番好き。
たしかに、いきなり、わけもわからずに日常と引き離されてしまうのは
怖いし戸惑うと思う。
でも、気が付くとその状態が居心地がよく、
そのシンプルな生活と家を大事に思うようになる主人公の気持ちが
なんとなくわかるような気がする。


たぶんそれは、私が基本的にヒキコモラーだからかもしれないけれど。


秋の牢獄

秋の牢獄