ラッキー・マン

マイケル・J・フォックスは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などで
日本でも有名なハリウッド俳優。
パーキンソン病になったということは、なんとなく知っていた。
が、実際のところ、パーキンソン病がどのような病気なのかもよく知らず。


そんな彼は、パーキンソン病にかかった自分のことを
ラッキーマン」だと言う。
不治の病にかかった人が、自分のことを「ラッキー」だと思えるように
なるのは、どんな経緯があったんだろうと思って、読み始めた。


内容的には、病気のことばかりではなく、
子ども時代のことや、俳優を目指してからのこと、
ラッキーなハリウッドでのデビュー後の借金まみれの生活、
成功した後のスターの派手な生活など、
彼のこれまでの半生が描かれた自叙伝のようだった。


ある意味、フリーランスである俳優業であるために、
いつ仕事がなくなるかという不安で、家族とゆっくり過ごす時間を
作ろうと思いながらもついつい仕事を入れてしまうところなど、
ああ、こんなに大スターでもそうなんだなあ、と
妙なところで共感してしまったり。


ハリウッドの大スターとして、ちやほやされる生活を送りながらも、
自分がこんな扱いを受けるのはどこか違うんじゃないか、
いつか化けの皮がはがれて、どん底に突き落とされるのではないかと
不安を抱えていたのも、なるほどと思った。
これが、芸能人を親に持つ2世俳優などだったら、そういう疑問は
持たないのかもしれないなあ。
(あ、これって、2世俳優への偏見?)
でも、堅実な両親や家族の、一般庶民としての目があったからこそ、
その後の病気やアルコール依存などの問題にぶつかったときも、
自分を見つめなおすことができたのかもしれない。


若年性パーキンソン病の人が、職を失うことや治療費により
経済的な苦境に陥ったり、社会的に孤立してしまうことを思うと、
彼は恵まれていたのかもしれない。
でも、常に周りから見られるハリウッドスターとして、
自分と家族と仕事を守るために、病気を隠しながら戦い続けてきたのは、
並大抵の苦労ではなかったと思う。

神様、自分では変えられないことを受け入れる平静さと、
自分に変えられることは変える勇気と、
そしてそのちがいがわかるだけの知恵をお与えください


心にズシン、と来た。
毎日、そう祈り続けて、自分自身と戦ってきたマイケル。
そう祈ることができるようになったことが、
彼が「ラッキーマン」である証なのかもしれない。


ラッキーマン

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