西の魔女が死んだ

これも、酒飲みマダム2名が絶賛していた本。


中学校に入り、登校拒否になった女の子「まい」。
外国人である祖母の家でしばらく過ごすことになるのだが、
その祖母が、実は魔女の力を持っているという。
そうして、まいも魔女のレッスンを受けることになるというお話。


この魔女のレッスンというのは、魔法を覚えるというのではなく、
悪魔に取り付かれないためのレッスン。
そのためには、悪い気持ちや弱い気持ちに左右されない強さを持つこと、
そして、本当の自分の気持ちに耳を傾ける力をつけることなのだ。


自分の気持ちに耳を傾けるというのは、簡単なようで難しい。
自分の気持ちにもいろいろあって、
逃げるための言い訳や、物事の表面だけ見て決め付けたりする気持ちや、
他人を恨んだり責めたりすることで自分を守る気持ちなどもある。


そういう気持ちに惑わされるのではなく、
本当に本当に大切な気持ち、
そして、本当に自分が耳を傾けなければならない自分の気持ちに
耳を傾けるということは、自分に強さがないとできないことだ。


そして、その上でおばあちゃんは

「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。――(中略)――シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」

と言う。
強さを持つことと、無理して自分を痛めつけることは違う。
自分を過酷な状況に置いたり、痛めつけることで、
自分が強さを身につけていると思いこむ危険もある。


最後に、「死」を恐れるまいに対して、おばあちゃんが見せた魔法。
「おばあちゃん、大好き!」と、私も何度も何度も言いたくなった。


西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)