対岸の彼女

角田光代さんの作品は、これまで2冊ほど図書館で借りて読んだ。
なんという作品だったか忘れたけど、いずれもどうも苦手で。
一冊は読んでいて気持ちが悪くなって、読むのをやめてしまったくらい。


だから、この直木賞を取ったという「対岸の彼女」を読んでも
ダメだと思ったのなら、もう二度と角田作品には近づくまいと思っていた。


で、結果はとてもおもしろかった。うっかり泣けてしまったし。
角田さんは私と同年代らしく、
だからなのか、中・高校生時代や現在の生活の描写などが
とてもリアルに感じられた。


中学・高校時代のイジメなどは、私のクラスではなかったけれど、
中学時代は隣のクラスで行なわれていた。
クラス全員で、わざと先生をシカトすることもあった。
やりたくないけれど、やらなければ自分もやられる。
誰かを自分より下に置くことで、自分を優位に立たせて満足できる。
それを大人になってからも続ける人たちがいる。


女の敵は女だなあと、以前から思うことがあったけれど、
やっぱりそうだなと改めて思った。
専業主婦の働くママバッシングのシーンは怖かったし。
PTAとかで会合に出ないと、私もそうなっ言われちゃうのかも、なんて。
でも、女の味方もやはり女なんだなあ。


公園ジプシーだった小夜子が、勇気を出して仕事に出て、
悩んだり悔しい思いをしたり迷ったりしながら、
言いたいことを、顔をあげて言えるようになり、
自分の道を自分で選べるようになった。
そういう大人になれた小夜子が、とても気持ちよかった。


対岸の彼女

対岸の彼女