てふてふ荘へようこそ  乾 ルカ

「てふてふ荘」というボロアパートのお話。
ぼろいけれど、ちゃんと管理人がいて手入れがとても行き届いている。
そして、家賃がとっても安い。
敷金礼金もいらなくて、最初の一か月は家賃も無料。
でも、そんなおいしい話にはやっぱり理由があるわけで。
その格安家賃の理由というのは、
各部屋に住みついている幽霊を同居しなければならないということ。


あー、あんまりこういう現実感のない話は好きじゃないんだよなー。
と思いながら、このボロアパートに入ってしまった
ダメダメな住民たちの不器用な生き方と、
その住民を見守る幽霊や管理人さんとのやりとりが
どうしようもなく心にしみて、
何度もうるうるしてしまった。


ダメダメななりに、自分にできることを一生懸命やって、
それがはたから見ていて、とっても滑稽なことであっても、
でも、自分の力で前に進んでいく姿は
とてもステキだ。
そして、それをある時は一生懸命に応援し、
ある時はガラスにうつる姿越しに見守る幽霊もまた、
とてもステキだ。


この著者は、結構グロい作品が多いかなと思っていたけれど、
グロさゼロのこんなほのぼのした作品もなかなかいいなと思った。


てふてふ荘へようこそ

てふてふ荘へようこそ