少女  湊 かなえ

この著者の作品を連続して読んでしまった。
いや、たまたま予約していた図書館で用意できた本が
順番で届いたということだったのだけれど。


でも、連続で読むとかなりヘビー。
と言いつつ、かなりはまって一気読みしてしまった。
この作品は「死体を見たい」という気持ちに取りつかれた
高校2年生の女の子たちの話。
小学生のころから仲がよかった少女たちが、
だんだんと気持ちがずれてしまう。
好きなのに、大事に思っているのに
反発してしまうというか。
その周囲の女の子たちも含め、
ああ、女子の世界だなあと。


「話してもわかってもらえない」と決めつけて
自分の感情や状況を過大評価したり、
逆に自分は相手の表面しか見ないで、誤解して傷ついてみたり。
でも、それって、
別に少女たちだけではなく、
大人になってからもそうなのかもしれないなあ。
ただ、少女たちにとっては、それがあまりにも生々しくて、
本人たちにも見ている方にもヒリヒリと痛ましく感じられるのかも。


別々に過ごした夏休みのそれぞれの出来事が微妙にリンクして
そして、少女たちの離れた心が少しずつ近づいて行く。
本当は大切にしているお互いの気持ちが
元に戻る過程は、読んでいてじんわりと心地よい。


なのに。
それだけではいかないわけなのね。
少女たちだけではなく、他の登場人物たちもまた
それぞれリンクしていて、
うわ、そうきたか!と、ざわっとした感じで終了。


少女たちのピュアな部分も描きつつ、
それ以上に毒々しい部分もしっかりと描く。
この人の作品は、好き嫌いがはっきり分かれそうだな。
でも、私はそういうことから目をそらさずに書けて
それを作品として仕上げることができるというのが
見事だなあと思う。


少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)