女の子ものがたり  西原 理恵子

西原さんの作品だから、
「ああ息子」とか「毎日かあさん」みたいに
笑える本だと思って気楽に読み始めたら、違った。


そこに描かれているのは、
山と田んぼと工場のある街で暮らすことになった女の子の話。
どうやらおじいちゃんの家にお世話になることになったらしく、
肩身の狭い思いをしているお母さん。
お父さんとはけんかばかりしている。


あまり豊かではないらしい街で
住む人の心は、いつもささくれだっていて、
そんな場所から逃げ出したいけれど、
子どもだから、どこにも逃げ出せない女の子たち。


いつの間にか忘れていた
自分が「女の子」だった頃のことを思いだした。
女の子って、周りの大人の言動を
どこか冷めた目でじっと見ているもので、
そして、何かをあきらめていて。
でも、だからこそ、ここではないどこかに
何かがちゃんと待っているのだと信じていて。


最近、自分の娘やその友だちの様子を見ていて
正直、「あああ、女の子ってめんどくせー」と、
「男の子の方がかわいいなあ」と、思っていた。


でも、この私の目の前にいるめんどくさい女の子たちの
その心の中にもきっと、
いろんな思いがぐるぐると渦巻いていて、
私たち大人のことをじっと見ているんだろうなと。
この小さな頭の中と、
そして心の中で、
まだうまく言葉にできない寂しさや悲しさやもどかしさや悔しさと
なんとか折り合いをつけていこうとしているのだろうなと、
そんなことを思った。


そうしたら、このめんどくさいくそ生意気な小学生女子が
ちょっとだけ、愛おしく思えてきた…ような気もした。


いや、やっぱり気のせいかも…… ←どっちだ

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