週末、森で  益田 ミリ

最近、遠方の取材が多いせいか
本を読む時間がたっぷりあって、
いつもはほとんど更新しないこっちのブログを
まれに見る勢いで更新しております。


さて。今回はマンガ。
ある日、ふと田舎暮らしを思い立った早川さん。
会社勤めでなく、家でひとりで仕事をしていたこともあって
森の近くのとある田舎に引っ越していった。


田舎暮らしといっても
畑仕事をするわけでもなく、
家は駅のすぐ目の前だったりして、
ほんとに田舎に住んでいるというだけなのだけれど、
そういう気合いの入らない田舎暮らしがまた
読んでいて心地よい。


この早川さんのもとには、
都会で働く友人、マユミちゃんとせっちゃんが
ときどき遊びに来る。
人間関係や仕事、将来への漠然とした不安といった
悩みを抱えるマユミちゃんとせっちゃんなのだけれど、
早川さんとの会話や森で過ごす時間が
2人の肩の力をふぅっと抜いてくれて、
同時に読んでいるこちらの力もふぅっと抜けて、
少しだけ切ないような、だけど元気が出るような、
そんな気持ちになった。


あるんだよなあ。
ものすごく大きな不幸や悩みなんかじゃなくっても、
すごく悲しくなったり、悔しくてどうしようもなくなったりすること。


通りすがりの人に「ちっ」と舌打ちをされたり、
仕事でささいなことだけれど、こっちのミスにされてしまったり。
一つひとつの出来事は小さなことで
大きな声をあげて問い詰めるほどのことじゃないけれど、
それでも受けた心のダメージは
実は案外と大きくて。
その日一日、あるいはその後数日間は
心の中がもやもやしてしまう。


でも、そんな小さなことで傷ついてしまうことって、
私だけじゃなくて、みんなあるんだなあって。
そういう小さなことをすくい取って
こうして作品にするって、ステキだなあと思った。


週末、森で

週末、森で