バガボンド 井上雄彦
ちまたで話題の「バガボンド」。
この漫画も作者も全然知らなかった。
というか、もともとほとんど漫画を読まないので、漫画界にはとっても疎いのだ。
この「バガボンド」の意味もよくわからないまま
全巻借りたのだけれど、届いてびっくり。
うわ。青年漫画だ。思いっきり男向けの絵だなあ。
おまけに宮本武蔵かあ。うーむ・・・←歴史物にあまり興味がない
たぶん、タイトルが「宮本武蔵」とかだったら、きっといくら評判になっていても
借りなかっただろうなあ。
そういう先入観を持ってほしくなくて「バガボンド」というタイトルにしたという話を聞いて
なるほど、それは大正解と思った。
というわけで、斬ったの斬られたの、おまけに内臓が飛び出すようなエグイ絵があったり
血がどろどろで叫び声ばっかりで、ほんとに苦手な分野の漫画だったわけで、
でも28巻借りちゃったからなあと、半分しょうがなく読み始めたのだった。
が。
最初抵抗を感じていたこの「絵」に、
次第にどんどん引き込まれて行くのを感じた。
なんだろう。一コマ一コマ、それ自体が一つの絵として成り立っているというか。
言葉で表現できない感情が、そこに描かれている表情や動きで
読み手に圧倒的な迫力で伝わってくる。
うわあ、漫画って、すごいなと思った。
ストーリーも、確かに武蔵が斬ったの斬られたので武者修行をしながら
どんどん剣の技術を磨き、精神的にも肉体的にも成長していく話だ。
でも、読み進めるうちに、これは戦う相手を通して
自分をとことん見つめて行く修行なのだということがわかってくる。
相手が強ければ強いほど、
深く深く自分の内側に降りて行く武蔵。
「命のやりとり」の中で自分を見つめ、そしてそんな武蔵を通して
敵方も自分の中の何かを見つけていく。
そして、彼らは「抱きしめあうかわりに斬る」のだ。
それが「命のやりとり」。
その世界に住みたいとは思わないけれど、
なぜか、魅力を感じてしまう。
「最後のマンガ展」行きたかったなあ。もう終わっちゃった。
ちなみに、私は武蔵より小次郎の方が好きかな。
でも、食べるときに音をくちゃくちゃするのや、平気でおならするのはイヤだけど。
- 作者: 井上雄彦,吉川英治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/03/23
- メディア: コミック
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