袋小路の男  絲山 秋子

袋小路に住む、袋小路の人生から抜け出せない男。
そんな男を、高校時代から十数年思い続ける女。
彼女が他の男とデートすると、へそを曲げるくせに、
彼女とは恋人には決してなろうとしない。
そんな男に、何も期待せずにずっとそばにい続ける彼女。


うーん。わかるなあ。
いや、私には絶対にできないだろう生き方だけど、
そういう男に惹かれてしまう気持ちは、わかる気がする。


ずるくて、情けなくて、自分勝手で。
でも、好きになっちゃったらしょうがないんだよね。
何も返ってこなくても、そばにいられるだけで
見ていられるだけで、幸せなんだよね。


そして、いつか、この物語の彼女のように
恋人じゃなくても、一番近い存在でいられたら、
それはそれで、すごく幸せなことなのかもしれない。


なーんて。
ひゃー、照れるなあ。


袋小路の男

袋小路の男