死んでいる  ジム・クレイス

りつこさんの感想を読んで、タイトルもインパクトがあるし
川上弘美のお勧めということもあり
興味を惹かれて読んでみた本。


動物学者である50代の夫婦が砂丘で殺される。
妻は下半身、夫は全身裸の状態で。
殺され方も残忍で、そして放置された死体は
砂漠の生物にどんどん食いちぎられ、腐敗していく。
その描写は淡々としているがゆえに逆に生々しくて
どうして私はこの本を読んでしまったのだろうかと
思わず後悔しそうになるくらいグロテスクだ。


でも、死体が腐敗していくさまと並行して
殺されるまでのその日の夫婦の行動や気持ち、
そして2人が出会ってからこれまでの人生、
彼らの娘のことが語られていく。
いい年して砂丘でセックスかよ、みたいな
(まさにそれも加害者の神経を逆なでする一因になっているのだけれど)
でも、実はそこに至るまでには
夫婦それぞれにいろんな思いや葛藤やいらだちや何やらがあって、
そしてそれがわかってからだとなおさら、
いかに暴力的に夫婦の人生が一瞬で絶たれたかが
改めてドーン…と迫ってくる感じで。


いやー、川上さんのように「大好きな本」とはとても言えないし
もう一度読むのはとても気力がついていかないような気がするけれど、
いろんな意味で心に残りました。ふぅ。


死んでいる

死んでいる