犯罪小説家  雫井修介

作家、待居涼司の作品「凍て鶴」に映画化の話が持ち上がる。
脚本・監督は人気脚本家の小野川充。
小野川は、作品の根底に流れるのは数年前に話題になった
自殺系サイトの世界観だと主張し、
当時、自殺系サイトの著作を出していたライターの今泉知里に調査を依頼する。


暴走する脚本家の妄想と、それに嫌悪感をあらわにする小説家の
映画化を巡る攻防かと思っていたら、自殺系サイト「落下の会」の話と
それを調査する今泉の話がストーリーの中心になり、
結局、何の話でどうなるんだ??と思いつつ、
どうなるのか知りたくてどんどん読んでしまう、不思議な話。
ラストは「ほ〜、そう来たか!」と、なかなか面白かった。


ストーリーとは別のところでは、
小説家、脚本家、ライターという、「もの書き」を仕事にしている人間の
それぞれの苦悩や作品の生み出し方というものが、面白いなと思った。
あと、原作を映画にすることの難しさも。
小野川の突っ走りっぷりを見て、
模倣犯」もこんな感じで映画になっちゃったのかなあ、なんて。


犯罪小説家

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